造園業の資格・免許一覧【2026年版】|取得費用・難易度・公共工事入札に必要な条件を徹底比較
造園業を営むうえで、「資格がなくても仕事はできるのか」「どの資格を取れば受注が増えるのか」は気になるポイントです。
結論から言えば、造園業の開業自体に必須の資格はありません。しかし、適切な資格を持つことで公共工事の入札に参加できたり、お客様からの信頼が高まったりと、事業の成長に大きく寄与します。
この記事では、造園業に関連する資格・免許を「取得すべき順番」で整理し、費用や受験資格も含めて解説します。
造園業は制度によって「建設業」と「サービス業」のどちらに分類されるかが変わります。建設業許可・消費税の簡易課税・労災保険での扱いの違いは「造園業は建設業?サービス業?」で整理しています。
造園業の資格一覧と優先度
優先度の目安
| 優先度 | 資格名 | 取得の目安 | 主なメリット |
|---|---|---|---|
| 最優先 | 普通自動車免許 | 開業前 | 現場移動・資材運搬 |
| 高 | 造園技能士(2級) | 実務2年以上 | 技術力の証明 |
| 高 | 造園施工管理技士(2級) | 実務3年以上 | 公共工事の受注 |
| 中 | 造園技能士(1級) | 実務7年以上 | 高度な技術力の証明 |
| 中 | 造園施工管理技士(1級) | 実務5年以上 | 大規模工事の受注 |
| 任意 | 街路樹剪定士 | 実務3年以上 | 公共の街路樹管理 |
| 任意 | 樹木医 | 実務7年以上 | 樹木診断・治療 |
| 任意 | 刈払機取扱作業者 | いつでも | 草刈り作業の安全管理 |
最優先で取得すべき資格
普通自動車免許
造園業では現場への移動や資材の運搬に車両が不可欠です。軽トラックやバンを運転するために、最低限普通自動車免許は必要です。
- 費用: 25〜35万円(教習所通学の場合)
- 取得期間: 1〜3ヶ月
- ポイント: 2トントラックを使う場合は準中型免許が必要
刈払機取扱作業者・チェーンソー(区別に注意)
草刈りと伐採では、法令上の位置づけが違います。ここを混同している解説が多いので注意してください。
| 機械 | 位置づけ | 根拠 |
|---|---|---|
| チェーンソー(立木の伐木・かかり木の処理・造材) | 特別教育が必要(法令上の義務) | 労働安全衛生規則第36条第8号 |
| 刈払機 | 特別教育ではなく「特別教育に準じた教育」 | 平成12年2月16日 基発第66号 |
刈払機の教育について、厚生労働省の通達はこう位置づけています。
「就業制限業務又は特別教育を必要とする危険有害業務に準ずる危険有害業務に初めて従事する者に対する特別教育に準じた教育」のうち、新たに標記の教育に係る実施要領を別添のとおり定めた
— 「刈払機取扱作業者に対する安全衛生教育について」(基発第66号・平成12年2月16日/安全衛生情報センター)
つまり刈払機は法令上の特別教育ではなく、行政通達に基づく教育です。とはいえ通達は事業者に実施を指導するもので、振動障害やキックバックの危険は現実にあります。従業員に草刈りをさせるなら受講させておくのが安全です。
一方、チェーンソーによる伐木等は法令上の特別教育が必要で、受けさせずに作業させれば労働安全衛生法違反になります。伐採を請けるなら必須です。条文は「チェーンソーを用いて行う立木の伐木、かかり木の処理又は造材の業務」(労働安全衛生規則第36条第8号)です。かつては胸高直径70cm以上とそれ以外で号が分かれていましたが、令和2年8月1日施行の改正で統合され、現在は第8号にまとまっています。
あわせて、チェーンソーで伐木・造材を行うときは下肢の切創防止用保護衣(チャップス)の着用も義務です。
事業者は、チェーンソーを用いて行う伐木の作業又は造材の作業を行うときは、労働者の下肢とチェーンソーのソーチェーンとの接触による危険を防止するため、当該作業に従事する労働者に下肢の切創防止用保護衣を着用させなければならない。
— 労働安全衛生規則第485条
- 費用: 刈払機 10,000〜15,000円 / チェーンソー(伐木等特別教育)は日数が長く2〜3万円程度
- 取得期間: 刈払機は1日、チェーンソーは学科・実技で2日程度
- 取得場所: 各地の労働基準協会、教習所、林業労働災害防止協会など
技術力を証明する国家資格
造園技能士(2級・1級)
厚生労働省所管の国家資格で、造園の実技と学科の試験に合格することで取得できます。
2級造園技能士
- 受験資格: 実務経験2年以上(学歴による短縮あり)
- 試験内容: 学科試験+実技試験(竹垣製作、石の据え付けなど)
- 受験料: 学科3,100円+実技18,200円
- 合格率: 約40〜50%
- 試験時期: 学科1月、実技7〜8月
1級造園技能士
- 受験資格: 実務経験7年以上(2級合格後は2年で受験可)
- 試験内容: 学科試験+実技試験(より高度な造園施工)
- 受験料: 学科3,100円+実技18,200円
- 合格率: 約30〜40%
メリット: 名刺や見積書に記載することで、お客様に技術力をアピールできます。特に個人邸の庭づくりでは「技能士の資格を持っている」ことが受注の決め手になることもあります。
造園施工管理技士(2級・1級)
国土交通省所管の国家資格で、建設業法に基づく造園工事の施工管理能力を証明します。
🔴 受検資格は令和6年度から変わりました。 国土交通省の案内は次のとおりです。
・1級の第一次検定は、19歳以上(受検年度末時点)であれば受検可能 ・2級の第一次検定は、17歳以上(受検年度末時点)であれば受検可能(従前から変更なし) ・1級及び2級の第二次検定は、第一次検定合格後の一定期間の実務経験などで受検可能 ・なお、令和10年度までの間は、制度改正前の受検資格要件による第二次検定受検が可能
— 国土交通省「令和6年度より施工管理技術検定の受検資格が変わります」
第一次検定に実務経験は不要になり、学歴とも関連しない要件になりました。若いうちに第一次検定だけ先に取っておく、という進め方ができます。以下の実務経験の年数は、経過措置期間中に選べる旧受検資格のものです。
合格率について: 造園施工管理技術検定の合格率は実施団体が公表していないため、本記事では数値を掲載していません。受検を決める際は全国建設研修センターの受検の手引で最新情報をご確認ください。
2級造園施工管理技士
- 受験資格(旧要件・経過措置): 実務経験3年以上(学歴による短縮あり)。新要件では第一次検定は17歳以上で受検可
- 試験内容: 第一次検定(マークシート)+第二次検定(記述式)
- 受検手数料: 第一次検定 8,600円/第二次検定 8,600円(第一次・第二次を同時に受検する場合は17,200円。いずれも非課税。全国建設研修センター)
- 試験時期: 第一次6月・11月、第二次11月
1級造園施工管理技士
- 受験資格(旧要件・経過措置): 実務経験5年以上(2級合格後は3年短縮)。新要件では第一次検定は19歳以上で受検可
- 試験内容: 第一次検定(マークシート)+第二次検定(記述式)
- 受検手数料: 第一次検定 17,200円/第二次検定 17,200円(非課税。全国建設研修センター)
メリット: 公共工事や規模の大きな工事では、監理技術者(1級)・主任技術者(2級)の配置が求められます。
ただし「この資格がなければ500万円以上の工事を受注できない」という説明は正確ではありません。500万円以上(税込)の工事に必要なのは建設業許可です(国土交通省「建設業の許可とは」)。許可を受けるには営業所ごとに専任の技術者を置く必要があり、造園施工管理技士はその要件を満たす資格の1つという関係です。資格がなくても、一定期間の実務経験で要件を満たせる場合があります。
🔴 ただし造園工事業には重要な例外があります。 造園工事業は指定建設業(土木・建築・電気・管・鋼構造物・舗装・造園の7業種)の1つで、特定建設業の許可を取る場合は専任技術者の要件が厳しくなります。
*指定建設業の許可を受けようとする場合は、この[2](指導監督的実務経験を有する者)の要件に該当しても許可は取得できません。([1]または[3]のいずれかの要件を満たすことが必要です)
*上記[3]の特別認定講習及び考査については、指定建設業制度が導入された際に行われたものであり、現在は実施していません。
— 国土交通省「建設業の許可(許可の要件)」
[3]の大臣特別認定は現在実施されていないため、造園工事業で特定建設業の許可を取るなら、国家資格者(1級造園施工管理技士など)が事実上必須です。実務経験だけでは要件を満たせません。元請として1件5,000万円以上の下請契約を結ぶ規模を目指すなら、1級の取得が前提になります。
一般建設業であれば、10年以上の実務経験でも専任技術者の要件を満たせます(同上)。
とはいえ資格があれば要件を早く満たせますし、公共工事の受注や経営事項審査でも評価されます。事業を大きくしていくなら取得する価値は高い資格です。自分が要件を満たすかどうかは、許可を受けようとする行政庁に確認してください。
なお一般建設業と特定建設業の区分は、元請として直接請け負った工事1件につき5,000万円以上の下請契約を締結するかどうかで分かれます(令和7年2月1日から4,500万円→5,000万円に引き上げ。同上)。
専門性を高める資格
街路樹剪定士
日本造園建設業協会が認定する資格で、街路樹の適切な維持管理技術を証明します。
- 受験資格: 造園業の実務経験3年以上
- 費用: 研修受講料+受験料で約30,000円
- 試験内容: 学科+実技(剪定の実演)
- メリット: 自治体の街路樹管理業務の入札で加点対象になる場合がある
樹木医
日本緑化センターが認定する資格で、樹木の診断・治療の専門家です。
- 受験資格: 樹木の保護に関する実務経験7年以上
- 費用: 研修参加費約80,000円
- 取得期間: 書類審査→筆記試験→面接→研修(約2週間)
- 合格率: 約20〜30%
- メリット: 天然記念物の治療や大木の診断など、高単価な仕事が受注できる
建設業許可との関係
造園業で500万円以上の工事を請け負う場合、建設業法に基づく建設業許可(造園工事業)が必要です。
建設業許可の取得要件
- 経営業務の管理責任者: 造園業の経営経験5年以上
- 専任技術者: 造園施工管理技士(1級または2級)、または実務経験10年以上
- 財産的基礎: 自己資本500万円以上
- 欠格要件に該当しないこと
造園施工管理技士を持っていれば、専任技術者の要件を満たせるため、建設業許可の取得がスムーズになります。
資格取得の勉強法
独学の場合
- テキスト: 市販の過去問題集(造園施工管理技士は地域開発研究所の問題集が定番)
- 勉強期間: 2〜3ヶ月(1日30分〜1時間)
- 費用: 3,000〜5,000円程度
講習会を活用する場合
- 各都道府県の造園組合: 技能士対策講座を開催していることがある
- 通信講座: 造園施工管理技士は通信講座が充実(3〜8万円程度)
- ポイント: 実技試験対策は講習会で学ぶのが効率的
資格を見積りに活かす
取得した資格は、お客様への信頼構築に活用しましょう。
- 見積書に記載: 「1級造園技能士」などの資格名を事業者情報に記載
- 名刺に掲載: 資格名を名刺に入れることで初対面の印象が変わる
- Webサイトに掲載: プロフィールや実績ページで資格をアピール
niwakuraの見積書では、事業者情報に資格名を記載できます。プロフェッショナルな見積書を無料で作成してみてください。
造園業の資格でよくある質問
Q1. 資格なしで造園業を開業できますか?
できます。造園業の開業自体に必須の資格はなく、個人事業主として届出だけで営業を始められます。ただし500万円以上の工事を請け負う場合は建設業許可(造園工事業)が必要になり、その専任技術者要件を満たすには造園施工管理技士の資格か実務経験10年以上が求められます。開業直後は無資格でも問題ありませんが、事業拡大を見据えるなら早めの資格取得計画が有利です。
Q2. 造園技能士と造園施工管理技士、どちらを先に取るべきですか?
個人邸中心なら造園技能士、公共工事を狙うなら造園施工管理技士を優先してください。造園技能士は実技試験を通じた技術力の証明で、名刺や見積書に記載してお客様への信頼構築に直結します。一方、造園施工管理技士は公共工事入札に必要な監理技術者・主任技術者の要件を満たす資格で、受注できる工事の規模自体を広げます。両方の取得が理想ですが、実務経験年数(技能士2年〜、施工管理技士3年〜)の兼ね合いで先に条件を満たす方から取得するのが現実的です。
Q3. 資格取得にかかる総費用はどのくらいですか?
2級造園技能士なら受験料だけで約21,300円(学科3,100円+実技18,200円)、これに独学の教材費3,000〜5,000円程度を加えても3万円弱で済みます。2級造園施工管理技士は第一次・第二次合わせて10,500円と技能士よりも安価ですが、通信講座を利用する場合は3〜8万円が別途かかります。最優先の普通自動車免許は教習所通学で25〜35万円と最も高額なため、開業前の資金計画に必ず織り込んでおきましょう。
Q4. 資格がなくても公共工事は受注できますか?
500万円未満の工事であれば資格なしでも受注可能ですが、500万円以上になると建設業許可(造園工事業)が必要で、その専任技術者要件は造園施工管理技士(1級または2級)か実務経験10年以上に限られます。自治体発注の公共工事入札では、経営事項審査(経審)における技術者評価でも造園技能士・造園施工管理技士の保有が加点対象になることが一般的です。公共工事を継続的に受注していきたい場合、資格取得は避けて通れない投資と考えてください。
Q5. 独立開業前に取得しておくべき資格の優先順位は?
普通自動車免許→刈払機取扱作業者→造園技能士2級→造園施工管理技士2級の順が実務的です。普通自動車免許は現場移動に必須で開業前提条件、刈払機取扱作業者は1日6時間の講習で取得でき即戦力になります。造園技能士2級は実務経験2年以上が受験資格のため、開業後に実務を積みながら取得を目指す流れが一般的です。開業直後から資格取得を計画に組み込んでおくと、事業の成長タイミングで公共工事入札にもスムーズに参入できます。
出典
- 国土交通省「令和6年度より施工管理技術検定の受検資格が変わります」— 第一次検定の年齢要件、第二次検定の要件、令和10年度までの経過措置
- 国土交通省「建設業の許可とは」— 軽微な建設工事(建築一式以外は500万円未満・税込)、一般建設業と特定建設業の区分
- 国土交通省「建設業の許可(許可の要件)」— 専任技術者の要件、指定建設業7業種と特定建設業での例外
- 全国建設研修センター「2級造園施工管理技術検定」「1級造園施工管理技術検定」— 受検手数料と受検資格
- 「刈払機取扱作業者に対する安全衛生教育について」(基発第66号・平成12年2月16日/安全衛生情報センター)— 刈払機の教育の位置づけ
受験料・合格率・講習費用は実施団体や年度によって変わります。受検を決める前に、各指定試験機関の受検の手引きで最新の情報をご確認ください。資格要件の判断は、許可を受けようとする行政庁にご確認ください。
まとめ
造園業に「必須」の資格はありませんが、資格の有無が受注力に直結します。まずは造園技能士2級から取得を始め、事業の成長に合わせて造園施工管理技士にステップアップするのがおすすめです。
公共工事への参入や500万円以上の工事受注を視野に入れるなら、建設業許可と合わせて計画的に資格取得を進めましょう。
開業の具体的な手順や必要な初期投資については「造園業で独立するための完全ガイド」で詳しく解説しています。料金設定で迷ったら「剪定の料金相場まとめ」や「草刈りの料金相場まとめ」も参考にしてください。確定申告や経費計上のポイントは「造園業の確定申告ガイド」、開業後の集客戦略は「造園業の顧客獲得ガイド」をご覧ください。